flecheには興味はあったけど基本ソロの自分にはそんな長距離のグループライドは無理だろうなぁと思っていた。1000kmを完走して次の目標を探している時に彩さんから出ませんか!というお誘いをもらった。りくらいまーさんと彩さんなら大丈夫かと思い出走することに。3人とも初めてなのでflecheのルールやコース作り、申込みなどいろいろ大変だったけど半年くらいかけて準備してきた。あともう1人、ブルベデビューから3ヶ月で1000kmまでコンプリートした鉄人のまんきぃさんも誘っていたが仕事で来れず結局3人で走ることに(応援ありがとうございました🙇)。
決まったルートは、福山からしまなみを通って四国に渡り、佐田岬からフェリーに乗って九州に上陸、別府から由布院、牧ノ戸峠を越えて阿蘇大観峰に向かう。大観峰にちょうど日の出の時間に着いて阿蘇のご来光を見よう!というのが計画だ。3年前の京都〜熊本600kmとSR600阿蘇のルートを参考にさせてもらった。
フェリーに乗るための100分(待ち時間30分と乗船70分)のロス、終盤に計2000mのロングクライムがハードルを上げている。それに前半区間での暴風向かい風と季節外れの寒気が加わって、3人とも走る前から不安だらけ。でもみんなで協力すればなんとかなる!行けるところまで行こう!と誓ってスタート。
福山を8:00に出発してしばらくは5kmごとに先頭を交代しながら走る。風はすでに4-5m/sの向かい風。北西から吹いてるから南向きに走る時だけ追い風になる。1時間ほどで尾道、しまなみ海道に入る。しまなみはこれで4回目だけど昼間の晴れた日に走るのは初めてで真夜中とか雨の中しか走ったことがなかったのですごく気持ち良かった。
彩さんが設定してくれたPCを巡りながら順調に進む。この辺りのPCはしまなみの複雑なルートをショートカットできないように設定したPCで、特に見どころというわけではない。名もないお堂やバス停で証拠写真を集めて行く。
しまなみの中間地点くらいにあるサイクリストの聖地にもちょっと寄り道。
flecheは他のBRMとは違いコース設定に独特のルールがある。同じルートの往復はできないとか、どんなに激坂でもショートカットができてしまうルート設定はダメで、遠回りするならPCを設置する必要がある。
事前のルート調べで議論になった生口橋手前の箇所。普通は正規のサイクリングルートで行くんだけどどうやらショートカットできるらしい。実際走ってみると予想通り激坂だったけど無事通ることができた。
しまなみ最後の橋、来島海峡大橋は爆風向かい風。遮るものが何もないから10m/s以上あったと思う。先頭を引いていたけど斜め前から吹いてるから全員がかなり消耗したんじゃないだろうか。なんとか渡り終わって四国に上陸。
松山まで向かう海沿いは3年前に悔しくて泣きながら走った道だ。今日は仲間と一緒で全然違った気分でワクワクしながら走っている。
松山からはまた爆風向かい風。先頭の消耗が激しく2kmも持たずに交代。心拍は後ろに付いていても常に140台になってしまっている。だんだんりくらいまーさんが引く割合が増えてきてそのうちほとんど引いてもらう感じになってしまう。
三崎港から九州に渡るフェリーは1時間に一本なので、20:30のプランAと21:30のプランBを計画していた。プランBは当日の向かい風を考慮して急遽計画したプランで、最低限の360kmを走り切ることができるけど阿蘇のご来光には間に合わない。プランAで走るには前半19kmペースが必要になる。
このペースを維持するためにここまで頑張ってきたんだけど自分にはかなりオーバーペースなのが心拍からもわかる。りくらいまーさんは19kmを維持するためにがんばってくれているがこのペースでは先が持たない。三崎港まであと50kmほどの地点で、この先どうするかの作戦会議をした。2人は頑張ればこのままプランAで行けそう、自分はこの先の山岳地帯と風速10mの予報なので無理せずペースを落とすべきと主張。プランAを諦めてしまった時のワタシ。
しばらく自分のペースで走り山岳地帯へ入ると急に風が止んできた。どうやら山のおかげで風が遮られてほぼ無風状態になったようだ。アップダウンはこれまでの暴風に比べたらほぼないようなもの。これならまだプランAも行けそう?となりまたペースを上げると20:30のフェリーが見えてきた。夜になって満点の星空の中、意外と余裕でフェリー乗り場に到着。早々に諦めてごめんなさい🙏
フェリーの乗船時間は70分。できれば徹夜ライドに備えて少しでも寝たかったけど21時台では眠くならず、3人でいろいろ喋ったりストレッチしたりして過ごした。りくらいまーさんは風の中引きまくったせいか膝の痛みが出てきているよう。彩さんが特技を活かしてケアしていた。
そしていよいよ九州に上陸。大分県の佐賀関港には22時前に到着してこれから後半戦の始まり。
佐賀関から別府までは約40kmの平坦路。風はびっくりするほど止んでいて快調に飛ばしていく。後で思うとここの区間はもっとペースを落として休みながら行くべきだったのかも知れない。2時間弱で別府に到着してクライム前にコンビニ休憩。
別府から由布院を通り、九州国道最高地点の牧ノ戸峠1300mを超えて阿蘇に向かう。
まずは由布院までの800mアップ。登り始めから思うように力が入らず頑張らないと二人のペースについていけない。それなりに食料も水分も摂っているのでハンガーノックではないはず。前半に無理をしたツケが回ってきているのか。まぁすでに270km走ってきてるので普段でも体力がなくなってもおかしくない距離だ。しかも寒い。これが自分の実力か。。2人を度々待たせながら最初の800mを登りきり真っ暗な由布岳に到着。
前回SR600では雲に隠れて見れなかった由布岳は月夜の中で輪郭だけ見えた。明るかったらすごいスケールの絶景なんだろう。
由布岳からの下りはすでに0℃近くまだ冷え込んでいて、すでに体力が尽きているので発熱が追いつかず急激に体温が奪われてしまう。400mほど降った由布院のコンビニではガクガク震えが止まらず、これ以上進むのはヤバい気もしてきた。氷点下まで冷え込むのは予報で分かっていたので最悪由布院のコンビニでカイロを買えるだけ買って貼りまくる計画だったけど、最初のコンビニには季節外れで売っていなかった。別府のコンビニにもなくて嫌な予感はしていたけどなんでこんなに寒いのに置いてないんだろうか。カイロがないと本当にヤバい気がしたので無理を言って探し回り、3件目のコンビニでなんとか最後の5個のカイロを確保。腹、背中、腕と貼りまくった。ついでにりくらいまーさんと一緒にカップラーメンをすすり、体の内側からも温める。その様子を早く行こうよーと眺める彩さん。。ここまでの登りで遅れた上に由布院で30分ほど時間を使って予定からはかなり遅れてしまっていた。
ここからは九重連山への緩やかな登り。相変わらず力は入らずハンガーノックのような状態が続いており、度々2人を待たせてしまう。追いついたとき謝りたくなるけど謝るとさらに気を遣わせると思い「おまたせ〜」を繰り返す。
牧ノ戸峠1300mまでの登りではいつの間にか2人の「無限しりとり」が始まっていて、それに混ぜてもらう。不思議としんどさを忘れることができてしりとりのお陰で牧ノ戸峠まではちょっと楽に感じれた。
ここですでに1時間以上計画から遅れていて、大観峰でのご来光どころか、最低ラインの360kmクリアも怪しい時間になってしまっていた。22時間の通過証明は予定を変更して牧ノ戸峠323km地点にすることに。
これもfleche独特のルールで、22時間から24時間の間に普通なら25km以上進めばいいんだけど、トータル360kmの条件をクリアするのにあと38kmを進まないといけない。下りもあるとはいえこの調子で19kmペースはちょっとヤバいかも。。
6時ちょうどに通過証明の写真を撮って、阿蘇に向かって一気に下る。仲間と一緒に朝日の中の阿蘇の高原を走り抜ける。これをやりたくてこのルートを計画して、苦労してここまで来たんだけど、自分の不甲斐なさが申し訳なさすぎて素直にこの時間を楽しめず、なんとも言えない気持ちでメンバーについて走る。。景色を楽しむ余裕もなく申し訳ない。
(写真はりくらいまーさんが撮ってくれたもの)
360km地点までは延々とアップダウンの繰り返しでなかなかたどり着かない。もう足は完全に終わってて最後の力を振り絞り、残り時間のカウントダウンに追われながら先に進む。もう無理かと思いながら必死に漕いでいると8時のリミットギリギリで360km地点の看板に到着。え?間に合った?早く写真写真!ってバタバタしながら本当にギリギリで証拠写真を撮る。そのあとしばらく体が動かず、行儀悪く道路に倒れ込んでしまった。あと100m、この看板が先にあったら間に合ってなかっただろう。
彩さんは何故かとても元気でまだまだ走れそうな様子。りくらいまーさんは300km以上は初めてということもあり自分ほどではないけどかなり疲労している感じだった。かなり前を引いてもらったのもあるし、膝の痛みもあったと思う。それだけ頑張ってもらったのに認定されないなんてことにならなくて本当に良かった。
自分の不甲斐なさだけが残念だったけど、最高のメンバーと走った最高のflecheでした。
チームお好み焼き、また走りましょう!ありがとうございました!