masa102’s blog

40代でハマったブルベの走行記録

BRM923米原1000km3度目の正直!

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これまでに近畿一周、四国漫遊と悔しいDNFが続いた1000kmへの挑戦。この米原1000kmは出走条件も厳しく、7月までに2000kmの認定を受けなければならない。近畿一周と四国漫遊を含めると余裕で2000kmは走ってるんだけど完走してないのでギリギリまで距離が足りず、真夏のビワイチ、ナライチを走って何とか参加資格を獲得。1000kmとなると宿代・食費に交通費、仕事の休みの調整も必要だし、何より家族の冷たい視線が気になる。とにかく今回の挑戦でダメだったら自分にはもう1000kmは無理なんだと諦める覚悟で挑んだ。

 

コースは、米原から西ウレ峠を越えて日本海を走り、新潟から南下して菅平、八ヶ岳を越えて静岡へ出る。太平洋岸を西に進み、半島の先っぽからフェリーで鳥羽に渡り、米原に戻ってくる。1000m超えの峠が3つと結構登りもある壮大な1000kmだ。1泊目は380km地点の上越市、2泊目は680km地点の清水市、フェリーで1時間ほど休憩してラストのゴールを目指す計画。

 

今回のBRMはN2開催で9/9〜10/7の任意の時間にスタートできる。台風通過を待って9/20の0:00スタートにした。この日の出走は自分だけだったようで終始完全に一人旅となった。Twitterで仲間と繋がってないと寂しくて仕方なかっただろう。車で早めに米原に着いて3時間ほど仮眠してから出発。

 

まず米原から岐阜へ。15℃ほどで涼しくて走りやすい。今回は10℃は下回らない予報なので、装備は真夏仕様の半袖短パン+アームカバーと防寒兼雨具のカッパ上のみ。最初は体の発熱もあってこの装備で問題ないように思えたが2日目以降に酷い目に会う。。

岐阜市内の深夜の信号峠を越え、郵便局で年賀状を投函。その後明るくなってくると西ウレに向けて緩やかな登りがはじまる。山里を走っていると前方の茂みに何か黒い動物が逃げ込むのが見えた。え?クマ? クマだとすると小さめ、だけどあの大きさで黒い動物って他に思い当たらない。まぁ見間違えかな。

西ウレ峠への登坂は緩め。直前にSR600を走ってると普通の峠がすごく楽に感じる。これはこれでいい。眠気と闘いながら、ほぼ予定通りの8時25分通過。

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西ウレ峠からの下りは最低11℃。防寒用のカッパを羽織っていれば問題ない寒さだった。

ここからは富山の海沿いまで降り基調。富山のpc1 250km地点には3時間半の貯金でここまではいい調子。

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しかしここからの向かい風が酷かった。台風一過で追い風を期待していたけど完全に逆。Yahoo天気によると8m/sの風が吹いていたらしく、時間と体力がどんどん削られていく。この区間で2時間貯金したかったのに全然稼げなかったのは計算外だった。日本海の夕焼けを満喫。

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日が暮れて新潟県に入るとようやく風がおさまってきた。親不知は初めて。よくこんなところに道作ったなぁと思うようなところで絶壁沿いに半トンネル、激しいアップダウンのある道が続く。狭いグネグネしたトンネルを大型トラックが行き交う中を走っていく。片側通行の工事信号のおかげで車列の最後尾を走れるから怖くはなく、車列の最後尾を離されないようについていく。マリオカートピノキオハイウェイみたいでめっちゃ楽しい。

ここからpc2上越380km地点までが体力が尽きて辛かった。上越には22時着、貯金は3時間のまま。ホテルで4時間半滞在。

 

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2日目は1000m超の峠2つを越えていく山ステージ。日本海から一気に太平洋まで縦断する。天気は曇りでしばらく雨は大丈夫そう。

まずは名もない600mの峠を越えて長野へ入るが、昨日の疲れからか体が動かない。10℃は下回らないけど発熱が追い付かず体が冷える。体が温まらないまま峠に着いてしまい、そのまま降りでさらに体温を奪われてしまう。低体温症のような症状になり、震えて体温を上げるのもめんどくさいと感じる状態。。。これはまずいと思いコンビニに避難するもイートインもないので大してなんの改善も得られず、先を急ぐ。ここまで3時間で30kmしか進んでおらず、このままではまずい。道脇にあった自販機でホットのミルクティーを買って、お腹を温めながら座り込んで少し眠っていると、地元の高校生が通りかかって目が覚める。今回のブルベで一番きつかったのはこの辺りで、本気でDNFを考えていた。

ここで窮地から救ってくれたのがまたまたTwitter仲間。現状を克服する手段をいっぱい考えてくれてほんとにありがたかった。再び走り始めてコンビニに行くと、窮地を救う復活アイテムを発見!

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カイロをあるだけ買い、お腹と、両太ももに仕込む。これがほんとにいい働きをしてくれて、さっきまで動かなかった体が一気に回復するのがわかった。ギリギリ隊走行計画からの遅れはこの時で3時間くらい。ここから挽回できるのかかなり厳しいけど、可能性がある限り走り続けるのが自分のスタイルだ。

この先は菅平高原で今回の最大の難所、1300m地点まで1000mほどを一気に登る。ここの登りは特徴的で10~12%の厳しめの斜度と数%の緩い斜面が延々と繰り返される。一旦緩むので楽というべきか、逆に厳しい斜度が見ためではっきり見えるので心を挫かれるのでキツイというべきか。ただ、体調は完全に回復していてハイテンションで登ることができた。てっぺんには予定の1時間遅れまで挽回して10:10に到着。

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菅平から下っていくと土地勘のない地名ばかり。上田市佐久市、小海町、、、下調べが足りず今どの辺を走っているかも、補給ポイントもわからない。この辺りから雨が降ってきてすぐにずぶ濡れに。適当に入った定食屋さんは店員さんの人柄も良く、ずぶ濡れでも嫌な顔一つされなかった。大盛カレーご馳走様でした。

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佐久市のホームセンターでカッパのズボンを購入。分厚くて暖かい。この寒さと雨の中、半パンではやはり体力が奪われるらしく、真夏装備で来たことは完全にミスだったと思う。

次の峠は野辺山。八ヶ岳のすぐ近くを通過するここも1400m近い標高。でも勾配はそれほどなく、長く長く緩やかな登りをたんたんと登っていると到着。せっかくなので撮影ポイントを探してみたけど、大したものがなくてへんてこな牛の置物と記念撮影。鉄道最高地点とかいろいろ撮影ポイントはあったらしい。

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この時点で借金は3時間だけど、PC3までは120km6.5時間、下り基調なのでなんとか間に合う計算ができるところまで挽回してきた。

野辺山から韮崎へは長い長い下り。雨は土砂降りになってきて、ブレーキがきかない。握力も限界になってきて、ちょくちょく握力回復のため止まりながら降りていく。

韮崎を過ぎてガーミンのいう通りに進むと工事中の看板。雨の中、スマホでルートを確認する気力もなく、ガーミンのいう通り進むと未舗装の深い砂利道に突入。引き返す時間もないので無事通過できることとパンクしないことを祈りながら約2kmの工事区間を進んだ。幸い無事に工事区間を抜けてルートに復帰できた。後で確認したところ、スタート時にちゃんと迂回情報をもらっていたらしく、完全に自分の確認不足だった。

身延線に沿って南下し、清水市に向かって進む。富士山がどこかできれいに見えていたはずだけど、土砂降りの雨のおかげで一度も見ることはなかった。ここからはPC3クローズ時間に追われながら目いっぱい踏んだ。ラスト20kmは200mの小山3連続。しっかり登る小山が連続しても休む余裕はなく、気合いで走りきってpc3 670kmへはクローズ20分前に到着。この区間の踏み込みでアキレス腱をやってしまったらしくPC3以降は痛みに悩まされた。2泊目の宿は清水市内にて4時間ほど滞在。

 

3日目、朝から雨。降ったり止んだりで今日も天気は悪い。でも風は追い風に代わって味方してくれている。清水から160km先の伊良湖岬を目指す。計算上の借金は4.5時間もあるが、1000kmブルベでは600kmを超えると12.5km/h計算に制限時間が緩和されるので、十分挽回できるはずなのだ。

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昨晩やってしまったアキレス腱、擦り切れた股間、ハンドルからの振動で痛む手の甲、600kmを超えるといろんな所に痛みが出てくる。幸い胃腸はまだ調子が良く食べれるので体力切れにはなっていない。

延々と続く東海道を走り、渥美半島の先端にある伊良湖岬にには12時に到着。無事に借金返済して1時間の貯金までできた。岬の直前にドーナツ模様の激坂もヒーヒー言いながらクリア。

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フェリーはだいたい1時間に一本で、11:50の次は13:05発なので1時間ほど待つことに。輪行袋に入れれば自転車代が浮くのでそうしようと思ったけど、急に風雨が強まり嵐のような天気に。建物内にチャリを持ち込める感じではなく諦めて自転車分も課金した。この時はまだこの雨の正体には気づいていなかったが後の天気予報で台風が直撃していたことを知った。出走時は全く台風の気配はなく3日目にちょっと天気悪くなる程度の予報だったのに、走っている間に台風に発達、伊勢→浜松→清水辺りを直撃したらしい。幸い雨台風で風は強くなく、それでフェリーも欠航にならなくて済んだ。ただ雨は局所的にエゲツなく台風の進路は災害級、今朝通過した清水辺りは洪水で通行止めも発生していた。

嵐の中を何事もなかったかのように時刻表通りにフェリーは進み、鳥羽港に到着。そして問答無用で豪雨の中にチャリで放り出される。。鳥羽から伊勢辺りでは道路が川のようになって命の危険を感じるようなところもあった。至る所で山肌から川のように道に流れ込み、ホイールの半分くらいまで水に浸かるところもあり、流れがあるところはチャリごと持っていかれそうになる。

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これはちょっとやばいのでは?と感じて雨宿りできそうなところに止まってスマホを見てようやくヤバさを実感。緊急避難情報も発報していたみたいだけどスマホをしまってたので気付かなかった。

幸いヤバイ雨はそれ以上ひどくはならずまた走ることができた。

 

伊勢神宮に着いた辺りでリアの変速が急におかしくなり、すぐにスカスカになった。どうやらシフトワイヤーが切れたらしい。今回は予備のワイヤーを持ってきている!なんで準備がいいんだと思いながら、バス停のベンチで修理を始める。切れたワイヤーを抜いて、予備のワイヤーを同じところに通していく。最後にシフターに太鼓を引っかかるだけ、、あれ?引っかからない?いくらやっても同じで原因がわからなかった。直せそうな自転車屋を探すと幸いすぐ近くにプロショップがあり駆け込んだ。

原因は太鼓のすぐ近くで断線して太鼓部分がシフター内に残ったままだったらしい。確かにワイヤーを抜くときに太鼓部分が見つかなかった。シフターを分解する必要があるらしく結構めんどくさい作業のようでしばらく横で勉強させてもらった。予備のワイヤーを持っていても直せなかったら意味ないやん、、と整備スキルの低さをまた実感した。

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通過チェックの松坂ミニストップには借金30分ほど。あと120kmくらいだけど制限時間はゆるくなっているので焦る必要はない。ゆっくり安全に進めばいい。日が暮れると雨もほとんど止んで重いカッパズボンはどこかのゴミ箱に捨ててしまった。

900kmを過ぎると体中が痛くてチャリに乗るのが苦痛で仕方ない。早くこの苦行から解放されたい一心で走る。手のひらはギヨン管症候群らしく痺れっぱなし、股間は痛いを通り過ぎて何も感じなくなっている、膝も痛いし、両足のアキレス腱もパンパンに腫れてきている。

ラストPCいなべには23時着。45分ほどの貯金ができた。ここからラスト鞍掛峠650mがあるから余裕があるわけではない。

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ラスト40kmの報告をツイートするとこんな夜中なのに、あとちょっと!頑張れ!のリプライがいっぱい来てめちゃくちゃ嬉しくて、また足が動くようになったし、痛みも吹っ飛んだ。650mの峠はこれまでの道のりも振り返りながら登っているとあっという間に感じた。

多賀大社のライトアップされた参詣道を過ぎるとゴールの米原へ到着!

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74時間23分、ずっと時間に追われながら、風と寒さと雨と痛さに苦しめられ、なんとか念願の1000kmを完走。とにかく感動というよりもこの苦行から解放されたのが嬉しかった。Twitterには今回も本当に助けられて、いっぱい応援してもらえたのが本当に力になった。感謝しかない。

 

ゴール後、これからこのコースに出発するうにゃーまんさんにお会いしてお見送りした。3日前の自分を見ているようだ。頑張って!ご安全に!

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完走32/出走52/エントリー86

DNF20

 

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